2007年ゼミ旅行

2007年のゼミ旅行は、黒部川流域の見学に行きました。


黒部川は3000m級の山々が連なる北アルプス連峰を源流とし、富山湾に流れ出る日本有数の急流河川です。
流域は降水量が多くかつ豪雪地帯でもあり、水量豊富な急流が険しい山々を浸食して刻んだ巨大なV字峡は「黒部峡谷」の名でよく知られ、
峡谷鉄道や温泉街などの観光地としても有名です。

なにより黒部を有名にしたのは「黒四ダム」に代表される水力発電でしょう。
豊富な流量と急傾斜は水力発電にはうってつけで、数多くの発電用ダムが黒部川に建設されてきました。

その反面、急流は豪雨の度に氾濫を起こし、流域の脆弱な地質や断層とあいまって大量の土砂が流出し、
大規模な土砂災害に悩まされてきました。



宇奈月ダム
一日目。
富山まで移動後、宇奈月ダムを見学しました。
後述する出し平ダムと同様、排砂ゲートを有していることで有名です。


ダム内部
ダム堤体の内部を見学させていただきました。天井のレールに沿って、点検用の無人カメラが動き回るのだとか。
ちなみに見学のあとで「ダムカード」を頂きました。マニアには堪りませんね。


宇奈月駅
二日目。
この日は黒部峡谷鉄道に乗り、上流を目指します。
始点である宇奈月駅は温泉街の中にあり、観光客で賑わっています。



出し平ダム
鉄道の車窓から「出し平ダム」が見えました。
貯水量の保持・海岸線の後退防止などを目的に、排砂を行うことができる珍しいダムです。
排砂は下流の宇奈月ダムと連携して行われます。

運用開始直後は湖底に溜まったヘドロによる環境問題などで漁業組合との公害訴訟が起きたりもしましたが、
現在では増水に合わせて排砂するなどの工夫により、改善されているとのことです。


スリットダム
黒部峡谷鉄道の終点である欅平に到着し、周辺の砂防施設を見学しました。

写真のスリットダムは最近土石流を受け止めたらしく、見学した時は修理中でした。
砂防ダムにうるさい当研究室としては、このスリット幅の広さが気になったりもするのですが…
話によればダムの上端まで土砂が貯まり、土石流をしっかり食い止めたらしいです。(上部まで削れた跡が残っています)


小さなアーチ
ちょっと珍しい、アーチ式の砂防ダムです。
アーチ式(堤体がカーブしているタイプ)は大きな発電用ダムに使われるイメージがあるせいか、かわいい印象を受けます。



秘密の地下鉄
いよいよ今回の目玉、「関西電力黒部専用鉄道」への乗車です。

欅平より上流の水力発電施設の維持管理のための専用鉄道で、特別な見学会を除き一般には開放されません。
宇奈月から欅平までの区間を「下部軌道」、ここからを「上部軌道」と呼ぶこともあります。
写真はぼけてしまっていますが、「黒部川第四発電所前ゆきのりば」と表示されています。
去年の立山といい、コースに某K先輩の趣味が反映されてるような…?


仙人谷ダム
上部軌道からしか見れない「仙人谷ダム」です。ダム基部が岩盤に直に接しているのが見える珍しいダムだそうです。
竣工が1940年というのが驚きです… 完成までには、「高熱隧道」で知られる死者300人余りを出した世界に類を見ない難工事がありました。
立山のトロッコは現在は林道で代用が利きますが、ここ黒部は完全に鉄道オンリーです。
先人たちが文字通り命懸けで造ったダムやトンネルが、今でも現役で活躍しています。


すごく…
途中からはインクラインに乗り換えます。
発電に使われる巨大な水車が置いてありました。


すれちがい
インクラインの途中、上り下りのすれ違いがありました。大迫力です。


くろよん
ついに終点、黒部ダムです。あいにくの雨でしたが、巨大なダムはやはり壮観です。


宇奈月から黒部ダムに至るまでの道程は、まさに日本の近代土木・水利事業そのものといえます。

近年、ダムといえば環境破壊、税金の無駄…といったマイナスイメージがつきまとう存在になっているのが事実です。
ですが、ひたすら険しい谷筋を縫って走る鉄道や、山をどうにかしてくり抜いた細いトンネル、黒ずんだコンクリートのダム。
それらを見たとき、 何か胸にこみ上げるものがあるのも確かなのです。



日本海
3日目は長野側に降り、松本砂防を見学しました。
見学しながら姫川に沿って下り、最後は日本海で解散となりました。











K点越え
おまけ




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