山口防府災害(2009年) 現地調査

 2009年7月21日に土砂災害が多発した山口県防府へ、
災害発生から6日後に現地調査へ先生と院生で行ってきました。
 このときは、大まかな災害状況を知ることが目的でした。


真尾老人ホーム周辺


・ 真尾老人ホーム
真尾老人ホーム
 老人ホームのある真尾地区では、施設の上までは流木や巨礫が流れてきた痕跡は見受けられましたが、 建物内部まで入ってきたものは細かなマサ土がほとんどのようでした。

・ 真尾老人ホーム(上流から望む)
真尾老人ホーム(上流から望む)

・ 真尾老人ホームの上流
真尾老人ホームの上流
 老人ホームの裏の沢で発生した土石流が、施設の位置する扇頂部の直上で狭窄することにより、 巨礫や流木が堆積・閉塞して流れが直進してしまったことで、建物を直撃したようです。

・ 真尾老人ホーム(内部)
真尾老人ホーム(内部)
 通常は施設を迂回させる幅1.5m程度の小さな流路があり、 本川へと合流するのですが、 普段の様子からは想定出来ない規模の流れが起こったために
今回のような状況が起こってしまったのでしょう。




石原

 集落にて家屋被害が発生した石原地区では石礫型土石流が流下したような痕跡が見受けられました。

・ 石原(家屋被災)
石原(家屋被災)
 土石流が流下した渓流側岸には、大きな石が多数堆積していました。 平均粒径として15-20cm位でしょうか。
 少し川幅が狭まっている部分では堆積しており、 その下では侵食が多いような痕跡もみられたり。

・ 石原(巨礫)
石原(巨礫)

・ 石原(スケール付河床)
石原(スケール付河床)
 ここでも、更に下流側の勾配が緩い農地等においてはマサ土のような細かな土砂が大量に堆積しているようでした。

・ 石原(下流のマサ土堆積・氾濫)
石原(下流のマサ土堆積・氾濫)



奈美地区

 他にも1名の死者が出た、奈美地区では未だに勢いよく水が流れ出てきており、
一体この水はどこから来たのだろう、という疑問を感じました。

・ 奈美(氾濫)
奈美(氾濫)
 通常では水をあまり排出しない花崗岩内において、長年に渡って溜まっていた水が、 何らかのきっかけで一気に溢れ出しているのですかね。

・ 奈美(橋脚と家による閉塞)
奈美(橋脚と家による閉塞)




透過型堰堤

 次に、砂防堰堤が効いた、と盛んに報道されている格子堰堤を見学してきましたが、これは本当に見事なまでに流木が閉塞していました。

・ 透過型堰堤B型(下流側より)
透過型堰堤B型(下流側より)
 上流側からみても、それほど大きな石が詰まっているようには見受けられません。
 中・小サイズの土砂は流木の間に貯まっているのが見受けられました。

・ 透過型堰堤B型(下流側より、格子拡大)
透過型堰堤B型(下流側より、格子拡大)
 ちなみに、これはよく報道に出てきたI型のものではなく、その下流に位置するとみられるB型と呼ばれるものだそうです。
 更に下には小さな不透過型堰堤も設置されていました。
 この格子堰堤、確かに効いていたようで 他の地区・渓流で見られたような
流木・巨礫の堆積が下流側においてはほとんど見られませんでした。

・ 透過型堰堤B型(上流側より)
透過型堰堤B型(上流側より)
 ただ、少し疑問に感じたのは、この堰堤の直下には 神社・道路・農地はあるものの、 特に人家らしい建物が無かった点で、どこを守ろうとしていたのかなぁ、等と思ったり。



源頭

 災害発生から約一ヶ月後にも現地調査へ行ってきました。
 この調査では、土石流などの起源となる源頭部の崩壊を見に行ってきました。

・ 石原(被災家屋)
石原(被災家屋)
 前回の調査時と比較すると、住居近くの土砂はだいぶ片付けられてきたようですが、 まだまだ被災した様子も見受けられました。

・ 石原(源頭部付近)
石原(源頭部付近)
 写真は、崩壊発生源付近の様子です。


八幡谷

 次に、八幡谷渓流の上流側で効いたI型砂防堰堤と その格子の閉塞の様子です。

・ 透過型堰堤I型(下流側より)
透過型堰堤I型(下流側より)
 以前に見に行ったB型堰堤とは規模が違ってこちらの方がかなり大きかったです。
 閉塞状況としては、以前と同じように 流木がほとんどであり、中小サイズの砂礫が わずかながらに閉塞していたようです。
 また、前回の調査の際には「どこを守ろうとして作ったのか」と 思いましたが、
これら2基の透過型堰堤の下流側に、数件ではありますが、今回の調査の際に、家屋が存在することを知りました。
 やはり、そのエリアに住んでいる方にとっては この堰堤は、かなり大きく効いたように思われます☆

・ 透過型堰堤I型(閉塞状況)
透過型堰堤I型(閉塞状況)

(写真&文章: K.N. )




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