環境計測機器の開発

森林の機能を評価したり,土砂災害の発生メカニズムを解明したりするための,新たな環境計測機器の開発に取り組んでいます。

(1)ハイドロフォン
(2)吸引時間制御型ライシメータ
(3)土壌水分計付貫入計(CPMP)



(1)ハイドロフォン

山地河川からどのようなタイミングでどれくらいの土砂が流れ出すかを知ることは,流域土砂管理において非常に重要となります。
山地河川を流下する流砂量を連続的に計測する装置として,鉄パイプまたは鉄板にマイクロフォンまたは振動計を取り付け,鉄パイプ,鉄板に衝突する砂礫の音を計測する「ハイドロフォン」を開発し,性能試験を行っています。





(2)吸引時間制御型ライシメータ

土壌中の水を採取し,溶質濃度を分析することにより,樹木の養分,塩分,微量元素の空間分布や,土壌間隙で起きている生物・化学反応,産業廃棄物や農薬による土壌・地下水汚染の実態を知ることができます。
土壌中の物質の移動量を定量化するには,土壌中を移動する水の量とそれに溶け込んでいる物質の濃度を計測する必要があります。そのためには,土壌水の採取手法が,「土壌中を移動している水を採水すること」,「採水によって,その場の水分環境を大きく変化させてしまわないこと」の二つの要件を満たす必要があります。
現在,このような採水装置として「吸引時間制御型ライシメータ(特許出願中)」の開発を行っています。

吸引時間制御型ライシメータの模式図



桐生水文試験地のヒノキ林で,吸引時間制御型ライシメータを用いたモニタリングを行っています。


(3)土壌水分計付貫入計 CPMP

山腹崩壊予測のためには雨水がどのような経路で斜面土層内を移動するのかという「動的な」情報が極めて重要となります。斜面土層内の雨水流動経路を明らかにするには,降雨の最中や直後の土壌水分の空間分布を計測することが有効です。
少ない労力で迅速に計測を行うために,「土壌水分計付貫入計 (CPMP)」の開発と試験を行っています。

土壌水分計付貫入計は,長谷川式土壌貫入計のロッドの先端に小型の土壌水分計を取り付けた構造になっていて,貫入抵抗を測定しながら同時に土壌水分の鉛直分布を計測できます。



貫入コーン先端および水分センサーの模式図







ページのトップへ戻る